皆様お待たせしました。
UGSFアニメ化計画作品第二弾、スターブレード・ジ・アニメーション-オペレーションホワイトスノー-を無事公開しました。
今回の作品についての解説をつらつらと書かせて頂きます。
ボスコニア共和国と移民の断絶
まず、ボスコニア共和国は400年前に銀河人とボスコニアンの戦争終結時に母星を失ったボスコニアンが銀河連邦から惑星の割譲を受けて設立した国家です。
当初は純血のボスコニアンのみで構成された国家も、産業を生み出すために招聘された銀河人も移住し、やがて混血が進んでいます。
物語の始まった時点では純血のボスコニアンは数少なく、多くの住民は混血のボスコニアンとなり、生活習慣や風習、文化なども銀河人とボスコニアンのそれらが入り混じった新しい物になっています。
一方で、ボスコニア共和国設立時に銀河人との和平を受け入れず、その後も流浪の民として宇宙を回遊していた純血ボスコニアンも400年の旅の中で疲弊し、生きる為やむを得ずボスコニア共和国への移民を希望しボスコニア共和国に帰化する者も急増しています。
ボスコニア共和国はこれら純血ボスコニアンも同胞として受け入れてはいますが、400年の歴史でボスコニア共和国元来の混血ボスコニアンと、400年旅を続けてきた純血ボスコニアンでは考え方も文化も風習も大きく異なり、急増する純血ボスコニアン移民との間には大きな断絶があります。
急増する純血ボスコニアン移民にボスコニア共和国は十分な支援も出来ず、移民は安い労働力として買い叩かれる一方、元来のボスコニア共和国の国民も、純血ボスコニアン移民もそれぞれ相手を自分達の文化や風習を守らない存在として疎ましく思っている所もあります。
これは、正に今の移民・難民の受け入れ問題そのもので、これを遠未来の人類はどう克服するのか?
という一つのテーマとして描いております。
UGSFアニメ化計画の作品ではその一部を切り抜いて描いておりますが、現在未公開ですが、小説「星降る宙のダンデリオン」ではより踏み込んで描いておりますので頒布の折はその点にも注目して頂けると嬉しいです。
ジョディ・ライマーの葛藤について
ジョディは銀河人とボスコニアンの間に生まれた混血ボスコニアンですが、ボスコニアンの遺伝子が優性の為、その肉体はボスコニアンです。
ボスコニアンは外見こそ銀河人の女性に近いですが、遺伝子改造とクローニングで繁殖して来た種族であり性別と言う物を持ちません。
また、長い間戦闘民族として人々は兵士として、つまり社会的性別は男性であるという特異な経緯を持ち、銀河連邦の基準では性別を持たない汎性として扱われており、女性としてふるまうか男性としてふるまうかは、個々の内面の性別を尊重する形を取られています。
一方、ジョディは内面の性別は女性であり、ファッションも少女趣味ですし、また、銀河人男性であるカケルに恋心を抱いています。
しかし、ボスコニアンの中では外見が女性であるというだけで銀河人の女性のようにふるまうのは銀河人に媚びを売る裏切り行為であるという考えを持つ派閥もあれば、ボスコニアンは性別を持たないのであるのだから外見が似ているだけで銀河人の女性と同じ格好をするのは間違いであると考える派閥もいます
一方で、内面の性別が女性であるのだからそれにそって生きていこうとするミィニャのような考え方の派閥もあります。
ジョディはこうしたボスコニアン内の価値観と、自分の内面の性別が女性であっても銀河人の女性ではないという事から女性のようにふるまう事が正しい事なのか葛藤しています。
それ故、カケルに恋をしていても、自分は銀河人の女性ではないという自覚が足かせになって葛藤しています。
外見の性別と内面の性別、そして社会から見た性別の違いによる違いは現在のLGBTQの問題にも根差しています。
私の友人にもLGBTQの人達が何人かおり、私自身も全性愛者である事から、こうした性の葛藤については色々と考えさせられることがあり、その点をジョディ・ライマーには反映させました。
余談ですがジョディの名字、ライマーはジョン・マネー医師による「内面の性別を強制的に男性から女性へと切り替えさせる」と言う人体実験で死亡したデイヴィッド・ライマーという史実上の人物から取っております。
このように、UGSFアニメ化計画作品、そして同じ時間軸を描いた小説「星降る宙のダンデリオン」(未公開)は様々な現代の問題は遠未来においてどう解決されるのかを自分なりに描いております。
これらはスペースオペラ・アクションのフレーバーとして描かれていますが自分なりに最大限考え抜いた内容を書いています。
この辺りを意識して再見して頂けるとより深く物語に没入できるのではないかと思います。
最後に主題歌について
スぺオペ・バトル物の主題歌ですと、トップをねらえ!のアクティブ・ハートのような明るい曲もあればガンダムシードのignitedのようなカッコいい系の曲もありますが、企画当初から主題歌は明るい曲の方向性で進めていました。
これは、物語の登場人物がそれぞれ悩みを抱えながらも希望に向かっていく物語のテーマに合わせたからです。
1番は「全員守ろう」という歌詞からカケルの心境を、2番は「こんなに 世界は 輝いているんだ」と、カケルと出会って世の中に希望を見出したジョディの心境をそれぞれ歌っています。
(2番はエンディングで流れます)
様々な複雑な事情を抱えたボスコニア共和国に集まった4人のパイロットの苦悩、そしてそれを乗り越えようとする希望をこの歌詞には詰め込んであります。
その辺りを意識してもう一度聞いて頂けると違った気づきがあると思います。
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