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先日、ビームマンP主催の動画投稿イベントMMD杯ZEROにて、UGSFアニメ「スターブレード・ジ・アニメーション―オペレーション・プロミネンス― 」の本編を公開しました。
前回はシナリオについて触れましたが、今回は製作の背景や過程、手法について書いていこうと思います。
背景について
かつて、当サークルは当時恒例だった集会「連邦議会」を継続的に主催しておりましたが、これはNewSpaceOrderの対戦会という位置づけであり、UGSFファンミーティングとしての色はあまり濃くありませんでした。
その一方で、NewSpaceOrderからUGSFに触れ、やがてUGSF-WEST様が動態保存されているGalaxian^3に触れ、本格的にUGSFのファンになっていく方もいらした他、当サークルやその周辺でもUGSFの二次創作を行う流れがありました。
これを受けて創作活動の発表やファン同士の交流を行う場としての「連邦議会」を開こうという運びとなり、UGSF-WESTのKEI様他大勢の協力者の方から力をお借りし、2008年11月2日、蒲田PIOの大会議室において「UGSFファンミーティングとしての連邦議会」が開かれました。
私は当時、同人誌の製作で力をお借りしていたnatuame様の協力を得て、共同でコンセプトムービー「スターライトエンゲージ」を製作、この場で公開したのです。
この連邦議会、通称「蒲田PIO50人オフ」では「星降る宙のダンデリオン」の前身となる「StarLightEngage」のコンセプトムービーも上映されました。
この頃から地球上とボスコニアンの混成チームと言うコンセプトは決まっていましたが、主役機がジオソードだったり、配役に大きな違いがありました[広報] #UGSF— 同人サークルUGSF_ORG広報 (@UGSF_ORG_CIRCLE) 2018年6月27日
このコンセプトムービーは「星降る宙のダンデリオン」そして今回の「スターブレード・ジ・アニメーション」の構想の元となった設定で作られた物であり、共通点こそあれど、大きく形は変わったというお話は前回お話した通りです。
そしてこのムービーを公開後、集まって下さったUGSFファンの皆様に私は約束しました。
「今回は数十秒のコンセプトムービーですが、完結したストーリーをもつアニメ作品の製作、UGSFのアニメ化を将来実現させます」
それから10年、私は周囲の状況がめまぐるしく変わる中、この約束を果たす機会を伺っていました。
そして今年、UnityでUGSF航宙機ジオキャリバー2を操作する技術実証をしていく過程で、私が自由に動かせる3Dモデルの資産が増えた事から、アニメを作る事も夢ではなくなってきました。
それと同時に、MMD杯ZERO開催の報を聞き、決して長くはない締め切りの中で「自分が見たいもの・見せたいもの・UGSFに欲しい物」を持つアニメ作品を発表するのは今だろうと考え、製作を開始したのです。
製作手法と方針
チープ&ミニマムで「一番やりたい事=must」を死守する
まず、締め切りという制限がある以上、全てのクオリティに完全を求める事は難しく、失敗する恐れもありましたので「must=絶対やらなければならない事」「most=やったほうがいい事、或いはmustに付随する別要素」の切り分けを行いました。
例えば下記の動画では次のような要旨が語られています。
「RPGを作る事がmustであるなら、グラフィックはmostであり、完成を最優先するなら切る」
「アクションゲームを作る事がmustであるなら、アイテムもトラップもmostであり、完成を最優先するなら切る」(以上意訳)
その為、mustを達成する為にはモデル・アニメーションの作りこみはより時間をかけて作り込む事は可能でしたがその点は最初から切りました。
この作品のmustは次の通りです。
「UGSF単独のアニメを完結したストーリーの作品を完成させる」
「自分がUGSFに求める物……板野サーカスのようにうねるミサイル軌道、スターブレードやGalaxian^3的なワンダバ、エースコンバットで定番となった長距離砲へのトンネル潜り、そしてキャラクターのドラマ」
これをまず成し遂げられるならば、チープ&ミニマムな構成で構わないと割り切る一方、これらの要素は絶対死守するという方針を取りました。
実際「ひどい手抜きだ」という声もありました。
しかし、それもまた事実であり、私も作りこもうと思えば幾らでも作りこめたかもしれませんが、締め切りまでに完成させる事を第一にしたかったのも事実です。
ここまでくると、後1年かけて凄い濃密な奴を作りたい欲求が沸いてくる。
— storchP_MMD (@storch_MMD) 2018年8月27日
とはいえ、完成させないことにはなぁ……
クオリティアップ中で事故ってお蔵入りもアレだしねぇ。— とむつぅ(o・∇・o) (@tomsan223) 2018年8月27日
実際の所、MMD杯ZERO本編動画投稿が解禁される8月24日の時点で「ワンダバ」と「トンネル潜り」以外は出来上がっていましたし、そこをスキップすれば解禁当日のリリースは可能でしたが、mustの中にある「ワンダバ」と「トンネル潜り」だけは時間が許す限り作る道を選びました。
チープ&ミニマムであってもmustは死守する方針を取った訳ですが、逆を言えばチープ&ミニマムだからこそ完成させられたのも事実です。
この手法は「やりたい事=must&most」の中から一番やりたい事「must」を優先する事で、目標を確実に実現させる方法ですが、クオリティを上げるという命題に反しているのは事実です。
この問題をどう楽しみながら解決させるかがポイントかなと思っています。
少なくとも、私の性質上、楽しみながらやらなければ、続かない物だと考えております。
この話について、友人はこう語りました。
「――ゆっくりやればいいさ」
ワイトもそう思います。
Q&A
Q:「ボスコニアンは美人揃いだったのでは?」
A:はい、美人です。
では何故リリカはLucky Rabbitで服が似合わないと考えたのかと言うと、リリカ達ボスコニアンは遺伝子改造を行い戦闘に特化した肉体を得ている為、スパルタンなアスリート体型と言う解釈になります。
そういった体型の人に似合うファッションはスポーティなデザインの物に自然となって行きますが、Lucky Rabbitで扱っていた服はそう言った方向性ではなく、ガーリーなデザインの物になります。
店名で気づいた人もいるかも知れませんが、それ故リリカは似合わないと感じたのです。
また、リリカの外見は確かに女性ですが、ボスコニアンは既に性別という概念が消滅しており、そのパーソナリティや性自認は必ず地球人の女性に準ずるとは限りません。
むしろ古典的な社会的役割で言えば狩や戦争を担う男性に近いパーソナリティが遺伝子改造の結果発生している可能性もあるのです。
それ故、地球人の文化と尺度でデザインされた服に違和感を感じたのでしょう。
(リリカのパーソナリティはそういう意味では男性的です。一方、星降る宙のダンデリオンに登場するボスコニアンのジョディは女性的です。)
銀河連邦においては、本人の性別は本人の性自認において決定されるという自由な選択権が保障されていると思いますので、連邦市民となったリリカがどのような選択をするのかは(以下数千文字省略)
閑話休題、リリカの外見設定はこんな感じです。
一段落したので、先の作品についての備忘録を。https://t.co/bjBFPJ1GMX
コメントで「ボスコニアンは美人揃いなのでは」とありますが確かに美人です……が、戦闘に特化した肉体である為、スパルタンなアスリート体型と言う解釈です(下記はVカツを使ったリリカのイメージ図)#UGSF #MMD杯ZERO pic.twitter.com/qyQXoMrb2X— storchP_MMD (@storch_MMD) 2018年9月11日
Q:「三次創作推奨とは一体どういうことなの……」
A:単純に私が他の人が作ったUGSF単独のシナリオや世界観、アニメ、小説、イラストが見たいので、この作品はUGSFの二次創作ですがこれを使った三次創作とかどんどん作って見せて欲しいという話です。
作ってくださいお願いします!なんでもしますんで!
Q:「最後に一言」
A:とりあえず次も頑張るぞい。
謝辞
MMD杯ZEROという素晴らしいイベントを開いて下さったビームマンP、そして声援を送って下さった視聴者の皆様、そしてこの作品作りに力を貸して下さった全てのMMDerの皆様に深くお礼申し上げます。
追記
文中の海原雄山のモーションはこちらで配布中です 1 2
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